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つくしさんのひとり言 2017年10月27日

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『ことば』は発達の原点④

まずは下の文をお読みください。

 

「あるみかんのうえにあるみかん」

 

この文を読んで、どのような状態をイメージされましたか?

 

 

 

 

 アルミ缶の上にあるミカン

 

 

 

 

 

 アルミ缶の上にアルミ缶

 

 

 

 

もしかすると、

 

 

 

 あるミカンの上にあるミカン

 

 

 

 

 あるミカンの上にアルミ缶

 

 

 

 

確かに文章としては不適切な個所もありますが、単純に読むだけでは意味が分からない事もあります。

 

『読む』という行為には、

 ①文字を理解する。

 ②その文字の音を発する。

 ③文字の集まりから、名前や動作、気持ちや状態等を理解する。

 

その上、日本語にはひらがな・カタカナ・漢字があり、それぞれの①②③を理解しなければなりません。

 

『読む』という行為には、大変な知識や経験を踏まえた高度な能力が必要となります。

特にひらがなばかりだと、大人であってもその意味を理解するのに戸惑うこともあるでしょう。

発達障がいで文字を読むのが苦手な子にとっては、まるで暗号です。

 

今年に入ってつくしくらぶでは、いつもおやつの時間に職員が紙芝居や絵本を読み聞かせています。

特に日本童話やアンデルセン童話を中心に、子供たちの心を豊かにする題材を選び、子供たちと一緒に図書館から借りてきます。

 

やがて慣れてくると、子供たちがこぞって自分が読みたいと訴えてきました。

 

 

ある昔話の紙芝居を子供が頑張って読んだ時の事です。

 

それを聞いている子供たちの頭の上には ??? が飛んでいます。

 

そしてあるシーン(文節)を読んだ時、一人の子供が 「意味わからん!」 と訴えました。

 

『お~ぃ、ちょうじゃ ドン!』

 

実際は、『お~ぃ、長者どん!』ですが、紙芝居はすべてひらがな表記であり、この紙芝居を読んだ子供は

『長者どん』という言葉を知らなかったのです。

 

すかさず職員が、『長者どん』の『長者』とは昔話に出てくる目上の徳のある人やその地域でのお金持ちの人の事を言い、『どん』とは「~さん」など敬愛を込めた呼び方だよ。決して音を表したものじゃないよ」とやさしく伝えました。

 

それからは子供たちが紙芝居や絵本を読みたいと言ったときは、そっと職員が寄り添い、まるでカラオケで歌詞の色が変わって歌うタイミングを伝えるように、職員が指で文字をなぞっていきます。

 

子供たちは大きな声で、しっかりと読むことが出来ました!

 

 

これらのエピソードで、子供たちが『読む』に苦戦しているのは、文字を認識して発音する難しさだけではなく、その文字(ことば)の意味を知らない事も大きな要因ではないかと感じます。

 

 

我々には子供たちの『読む』能力をすぐに向上させることはできません。

 

しかし、たくさんの良質な会話から多くの言葉とその意味を伝え、知識として習得させることは可能です。

知識が増えれば、見た漢字や言葉の意味を理解することができ、そしてその言葉を使える(言える、伝えられる)と考えています。